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第1楽章は、いきなり荒々しい異様な第一主題をもって始まります。主題とはいってもその本体をなすものは最初の4つの音に要約され、あとはこれを反復し、積み重ねていくだけでさらにこの主動横は第二主題を構成し、ひいては全楽章を組織的に築き上げるのは主題法としてさらに驚異的です。
ベートーヴェンはあるとき弟子のシントラーに、第1楽章の動機を説明するのに「運命はかく戸をたたく」と言ったという逸話がありますがこの一言によって今日まで俗に「運命交響曲」の別称をもって呼ばれています。つまり「運命」というタイトルは直接ベートーヴェンによって与えられた標題ではありませんが、作品の内容がこれにさほど矛盾するものでもありません。
他方パリ初演の際に、終楽章に移ってあの豪壮な第一楽章が開始されるやいなやナポレオンに仕えた一老兵が「皇帝だ!皇帝万歳」と叫んだことにより、当時のパリでは「皇帝交響曲」の名を持って呼ばれていたと伝えられています。
第4楽章では、これまでの黒い雲を払いのけ、輝かしい勝利の凱歌が高らかに響きわたり、ここにはもはや運命の闘争もない英雄の勝利のみがすべてを圧倒しています。この開始に胸がすく思いを覚えた兵士が、「皇帝万歳」と叫んだとてあえて不思議はありません。また、この曲は第6番「田園」と並行して作曲され、同時に初演されましたが全く正反対ともいえる性格の、音楽の双子のように作られたというのも、ベートーヴェンの人間像を考えるとき大変興味深いことです。
初演1808年12月22日アン・デア・ウィーン劇場。

 

第1楽章 アレグロ・コンブリオ
第2楽章 アンダンテ・コン・モート
第3楽章 アレグロ
第4楽章 アレグロ

 

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團伊玖磨の記念講演
東京ゾリステン演奏会
11月3日(日)14:00開演●入場整理券

 

クリスマスオルガンコンサート
グレゴリオ聖歌と共に
12月21日(土)18:30開演●入場料1,000円

 

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